今夏公開の映画『ビリーバーズ』で考える、宗教とカルトの違いとは?

今夏公開の映画『ビリーバーズ』で考える、宗教とカルトの違いとは?

ヒトの本質を覗ける作品として話題を集めた、山本直樹作の青年漫画『ビリーバーズ』。その実写映画が、2022年7月8日に公開されました。本記事では、映画『ビリーバーズ』から宗教とカルトの違いについて、考えていきたいと思います。

『ビリーバーズ』の作品概要

磯村勇斗さん主演で実写映画化された『ビリーバーズ』ですが、原作は1999年より小学館の『ビッグコミックスピリッツ』で連載されていました。本作品は、性と宗教という人間界にとって非常にセンシティブなテーマが中心となっています。この2つを通して、人間の精神が崩壊していく様が、言い換えるならば動物的本能の赴くままに行動する様が、緻密な表現のもとで描かれています。そのため、何も考えることなく一見しただけでは、エロティックかつグロテスクであり、ただのショッキングなストーリーに感じる方も少なくないでしょう。しかし、際どい内容だからこそ、性欲と宗教のジレンマの本質を映す鮮明な鏡となっており、そこから気づかされ、考えさせられる内容も非常に濃いものになると思います。

また、実写化の監督を務める城定秀夫氏は、成人向け映画出身であるため、性に対する緻密な表現も大きな見どころとなっています。

宗教とカルトについて

みなさんは「宗教」と聞くとどのようなイメージを浮かべますか。また「カルト」と聞くとどうでしょうか。「具体的な違いはよく分からないけど、なんとなくあまり良くない印象がある」という方が多いのではないでしょうか。特に日本人ならば、とある悲惨な事件とその団体名が浮かぶ方も多くいるでしょう。

カルトとは

結論から述べると、カルトと宗教は同等のものを指す言葉ではありません。宗教を大雑把に分けると、「伝統宗教」と「新興宗教」の2種類に分類できます。それぞれの意味は、読んで字のごとく、「古くからある歴史の深い宗教」と「比較的新しい宗教」という違いになります。

現在の伝統宗教の代表は、キリスト教や仏教などであるため、新興宗教はそこから派生したものであるとも言えます。比較的新しい「新興宗教」の中でも、“過激な”団体を差別化するために「カルト」と呼ぶようになりました。立教された当時、新興宗教であったキリスト教も、カルトと呼ばれていた過去があったようです。

宗教とカルトの違い

宗教とカルトでは、“誰が”幸せになれるのかに大きな違いがあります。その団体の構成員、いわゆる信者が報われるものが「宗教」で、反対にその団体のトップ、いわゆる教祖が報われるものが「カルト」です。つまり、思想の強要や法外な金銭の徴収など、教祖自身の私利私欲のためのみの団体が「カルト」と言えます。

カルトの特徴

カルト教団に見られる代表的な特徴を2つ紹介します。これらの特徴を持つ団体すべてがカルトであると言い切ることはできませんが、少なくとも宗教という枠組みにおいて、過激派であることは間違いないでしょう。

社会への干渉と信者の権利侵害

信者のためと称し、教祖自身が政治への参与など、社会への干渉を強く望む傾向があります。そのための手段は選ばず、情報操作や印象操作をはじめ、暴力行為もいといません。信者への殺人の強要や、覚せい剤を用いた洗脳の事例もあります。

心理の独占と選民思想

あるひとつの思想を唯一の真理とし、それ以外は悪として完全に否定したり、自身を絶対的な神またはその生まれ変わりとして崇め奉らせたりする傾向もあります。

最後に

世界的にタブー視されがちな話題である「宗教」ですが、基本的人権でも保証されるほど立派な自由のひとつでもあります。核となる思想を持ち、強く生き抜く手段のひとつとして、様々な形に変形して発展してきた宗教ですが、その影につけ込み、時には日本を、時には世界を揺るがすほどの大事件を起こしてしまったことも事実です。

宗教のジレンマは、多様性のジレンマとも言えるのではないでしょうか。繰り返しにはなりますが、センシティブな内容だからこそ、考える価値があり、そこから見出せる意味も大きくなります。幸せの形はいつの時代もひとつではありません。あなたはこのテーマから何を感じ、何を考えるでしょうか。

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